平成22年に大阪・ナニワで発生した事件は数多い。留置場内での究極の性交渉、JR車掌による防護無線のヒューズ抜き取り、幼い姉弟が亡くなった虐待…。大阪府警が摘発した事件を今一度振り返ってみた。
虐待の極み、2幼児置き去り死
「『虐待の極み』としか言いようがない」。凶悪犯罪に慣れた刑事でさえ、言葉を詰まらせた。
若者に人気の大阪市西区南堀江のマンションで22年7月、やせ細り寄り添うように死んでいる3歳と1歳の姉弟2人が見つかった。
殺人と死体遺棄容疑で逮捕されたのは、母親の風俗店従業員、下村早苗被告(23)。男友達と夜通し遊ぶ間、姉弟が部屋から出られないようにドアを細工して閉じこめ、飢えや暑さで衰弱死させたという。
6畳のワンルームは生活ごみであふれ、空っぽの冷蔵庫やインターホン付近の壁には、姉弟が食べ物や母親を探して手で触ったような跡が残っていた。
大きな瞳と豊かな髪で愛想をふりまき、異性にもてたという下村被告。浮気が原因で離婚し、子供2人を連れて22年初めに大阪へ来たころから育児放棄(ネグレクト)が始まった。
「男友達と遊ぶのが楽しく、家に帰って子供の世話をしようと思わなかった」。部屋には炊飯器ひとつなく、子育て中の母親の雰囲気は全くなかった。中学時代の下村被告を知る人は「実家もごみ屋敷。父親は娘にお金だけ与えてほったらかしにしていた」と証言。専門家は“虐待の連鎖”を指摘した。
「取り返しのつかないことをした。子供は私を恨んでいると思う」と述べたという下村被告だが、事件を伝える新聞を読み、「私こんなに悪いことしてないもん」とむくれたという。